第五章 警察
第一節 概説
明治二十八年九月三角湧に警察署を置き、海山・桃澗二堡を管轄せり。
同三十年七月辨務署を設置すると同時に三角湧警察署を柑園に移し、三角湧には憲兵屯所を置きて警務事務を兼掌せしむ。
同三十二年一月三角湧憲兵屯所を廢し、同三十七年七月四日柑園警察署を三角湧辨務所に合併し、第二課と改稱せり。
同三十三年十一月二十七日三角湧辨務署を大嵙嵌街に移し、大嵙嵌辨務所と改稱す。
同三十四年十一月官制改正に因りて桃仔園廳管轄となり、三角湧に支廳を設置し、主として警察事務を分掌せしむ。
大正九年十月一日地方制度改正に因り、當地方は臺北州に屬し、海山郡の管轄となれるが、現在、本庄内に警察官吏派出所五箇所あり。今其の沿革の大要を記せば左の如し。
（一）樹林派出所
一、明治三十年十一月十五日を以て創設せられ、當時一民家を借り受けて之に充當したり。後明治三十二年五月地方有志の寄附に依りて派出所を建設したるも、位置適當ならざりしと、一は建物不完全なる上に白蟻の食害を受けたるを以て、明治四十二年六月二十八日樹林聯合保甲會議所を借り上げ、一部を保甲事務所に、一部を派出所に充當せり。
一、大正六年九月當所定員は巡査二名、巡査補一名なりしを、巡査三名、巡査補一名に改正せられ、其の為に巡査宿舎に不足を生じたるを以て部内人民より金壹千參百貳拾五圓を寄附せしめ、宿舍一棟の新築に着手し、大正七年七月二十四日竣工したり。
一、大正九年九月一日地方制度改正に依り、元桃園廳三角湧の所轄なりしを、臺北州海山郡の所轄と改む。
一、大正十三年十二月二十五日臺北州訓令第三十八號に依り、配置定員甲種巡査二名、乙種巡査一名に改定せらる。
一、大正十四年臺北州訓令第十一號に依り、配置定員を甲種巡査一名、乙種巡査一名に改定せらる。
一、昭和三年臺北州訓令第八號に依り、配置定員を巡査部長一名、甲種巡査一名、乙種巡査一名に改定せらる。
一、從來の當派出所は歲月重なると共に蟻害其の他に因りて遂次腐蝕し、危険を感ずるに至りたるを以て、地方有志の寄附金壹萬壹千圓に依り、昭和六年四月二十二日現在の位置に移轉改築の工を起し、同年八月二十九日竣工す。
（二）鶯歌派出所
一、明治三十年十一月六日元尖山埔庄に設置せられ、管内尖山庄、南靖厝庄、鶯歌石庄、大湖庄の五庄を管轄す。
一、明治三十五年四月二十七日鶯歌石庄鶯歌石九六番地へ移轉し、鶯歌石警察官吏派出所と改稱す。
一、大正六年九月定員巡査一名、巡査補一名を、巡査二名、巡査補一名に改正さる。
一、大正九年九月一日地方制度改正に依り、元中庄警察官吏派出所管轄の橋子頭二保及び二甲九の一保を當派出所管轄に編入す。
一、大正九年九月一日地方制度改正の結果、同年十月一日より鶯歌石警察官吏派出所を鶯歌警察官吏派出所と改稱す。
一、大正九年九月派出所定員を警部補一名、巡査部長一名、甲種巡査一名、乙種巡査一名に改正さる。
一、大正十一年四月定員巡査部長一名、甲種巡査二名に改正す。
一、大正十三年八月派出所の建物腐朽し且つ狹隘を告ぐるに至りたるを以て、地方有志の寄付金に依りて改築することに決定の上認可申請し、同年八月二十五日建築に着手し、大正十四年二月二十二日竣工、同所に移轉して現在に及べり。（建物内容‖煉瓦造平家建にして總建坪四十七坪一七〇。内事務所十五坪一〇六。甲宿舎十三坪七一七。同附屬四坪三九〇。乙宿舎十三坪九五七）
一、大正四年四月定員巡査部長一名、甲種巡査二名、乙種巡査一名に改正さる。
一、昭和三年臺北州訓令第二一號に依り、定員前記同斷に改正。
一、昭和四年五月一日臺北州訓令第十二號に依り、定員前記同斷に改正。
（三）柑園派出所
一、明治三十年七月溪墘厝土名柑園八番地に警察署を設置し、柑園警察署と稱したり。其の受持區域及び配置人員左の如し。
受持區域‖阿南坑庄、阿四坑庄、斗門頭庄、樟樹窟庄、桃仔脚庄、溪墘厝庄、石灰坑庄、石頭溪庄、三塊厝庄、田尾庄、崙仔庄。
配置定員‖警部一名、巡査部長一名、巡査二十名。
一、明治三十一年七月四日官制改革の結果、三角湧辨務署に合併せられ、同日更に柑園警察官吏派出所を設置す。其の受持區域は柑園警察署當時の受持區域に等しく、配置定員は巡査部長一名、巡査四名、巡査補一名となれり。
一、明治三十四年七月阿南坑庄、阿四坑庄、樟樹窟庄は鶯歌派出所部内へ、石灰坑庄、斗門頭庄は樹林派出所部内へ變更せられ、更に沛舍坡庄を當所部内に編入す。
一、明治三十五年（月日不詳）配置定員巡査一名、巡査補一名に改正せらる。
一、大正五年九月三十日隆恩埔警察官吏派出所を廢して當所に合併せる結果、受持區域は隆恩埔庄、麥子園庄、劍厝埔庄、桃仔脚庄、溪墘厝庄、石頭溪庄、三塊厝庄、崙仔庄、沛舍坡庄となり、配置定員は巡査二名、巡査補一名に改正せらる。
一、大正九年九月一日臺北州告示第六號に依り、受持區域鶯歌庄の内桃子脚、溪墘厝、石頭溪、三塊厝及び崙子、三峽庄の內隆恩埔、劉厝埔及び麥子園となり、配置定員巡査二名に改正せらる。
一、大正十一年五月十三日臺北州告示第九十二號を以て受持區域鶯歌庄の內桃子脚、溪墘厝、石頭溪、三塊厝、崙子に改正す。
一、大正十三年十二月二十五日配置定員甲種巡査一名に改めらる。
一、柑園警察官吏派出所建物の内事務室（柑園一〇番地）は明治三十六年十月六日の造築に係々土角造りにして、宿舎は大正七年七月新築せるものなるも、其の後歳月を經るに從ひ、何れも腐朽及び蟻害の為め危険狀態となりたるを以て、同派出所部内住民の寄附に依り改築する事となり、昭和八年五月十五日工事費參千百五拾圓にて溪墘厝字溪墘厝六〇番地に新築竣工、同月十六日事務所を移轉せり。
（四）大湖派出所
一、明治三十三年時月二十六日の設立に係るものにして、當時民屋を派出所に當てしが、明治四十四年十二月經費四百五十圓は部民の寄附に之を仰ぎ、建坪三十九坪五合の土塊造一棟を改築せり。
一、昭和七年十一月州費及び地方有志の寄附金計二千八百八十四圓にて改築工事に着手し、昭和八年二月末日竣工せり。
（五）山子派出所
一、明治三十三年四月山子脚警察官吏派出所として字山子脚四二七番地に建坪三十四坪の平屋土塊造を建設せり。當時定員は巡査一名、巡査補一名にして、受持區域は鶯歌石庄山子脚字山子脚、字太高坑、字橫坑子、字中坑、字蓋淡坑及び石灰坑庄字石灰坑、字下斗門頭、字上斗門頭、字風炉坑なりき。
一、大正十一年四月事務所 に巡査宿舎の模樣換をなせり。
一、大正九年十月一日より定員甲種巡査一名、乙種巡査一名に改正せられて現在に及ぶ。
一、舊警察官吏派出所は明治三十三年建築し、大正十一年金五百八拾五圓を以て修繕を加へたるも、實に三十二年間の久しきに及び、腐朽甚だしきを以て新築の必要に迫られ、昭和五年二月十六日保甲會議の結果、同年九月九日を以て山子脚驛を距る東方二町字山子脚四 一番地に建坪三十坪八合五勺一才、煉瓦建切妻造の建物を起工し、同十二月一日竣工、同十二月十六日落成式を舉げたり。
第二節保甲
保甲は明治三十一年律令第二十一號保甲條例、同年府令第八十七號保甲條例施行規則及び大正九年十二月州令第十九號保甲條例實施規則細則に基き、専ら地方の安寧秩序を保持すべき警察補助機關なり。保正協議の上匪賊 に風水火災の警戒防禦の為に聯合壯丁團を設けられたり。今當庄城内に於ける保甲並に壯丁團の數を掲ぐれば左の如し。（昭和八年末現在）
（一）保甲數
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（二）壯丁團
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