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第十一章 産業に關する庄の施設

第一節 業佃會

農事の改良進歩を促し、農産物の増殖並に品質の向上を期せんには、先づ地主˙小作人間の親和を圖り、土地愛護の觀念を培養し、不良小作の慣行を改善するを以て最も緊要なりとす。本會は此の目的を達成せんが為に大正九月四日を以て創立せらる。

(一)沿革

從來小作慣行の不備に因りて小作紛争の續出を見たるは誠に遺憾なり。明治四十二年桃仔園廳に於て小作紛爭の防止 に小作慣行改善統制の必要を認めて業佃會を設立し、廳下普く其の加入を勸獎せり。之れ業佃會設立の 矢なり。次いで大正十一年臺南州新營郡に於て其の設立を見たり。斯くて時代の進運に伴ひ、地主と小作人即ち業佃協調機關の設立次第に頻繁となれり。本庄業佃會は此の趨勢に鑒み、大正十年之が調査研究に着手、大正十二年設立を決定し、豫算に金二百圓を計上して補助に充てたり。大正十二年四月十三日設立計劃報告 に州補助の申請を為し、同年五月十五日より趣旨の宣傳及び規約案の審議をなせり。其の後實行至難の恐れあるを以て暫時中止したるも、越えて大正十五年七月二十八日より三日間に亘りて趣旨の宣傳を為し、同時に六百八十三名の贊同を得、八月十七日會規約を審議決定し、九月四日を以て發會式を舉行したり。

(二)事業

(1)賃貸借契約に關する斡旋

(2)小作争議の調停

(3)小作に關する調査研究

(4)農事改良の助成及獎勵

(5)其の他本會の目的を達成する為の必要事業

(三)組織

(1)區域は庄區域に準ず。

(2)會員は鶯歌庄内に耕地を有する地主、質權者及び其の小作人並びに農業關係者を以て組織す。

(3)本會の役員として會長一名、副會長一名、總代若干名、評議員若干名、理事長若干名、書記一名を置く。

(四)會員

會員は大正十五年の創立以来殆ど搆クなく、昭和七年末現在に於て地主三百四十一人、小作人四百二人なり。

(五)書式契約締結狀況

(昭和三年以来小作地總面積に變更なく、七年末現千五百八十五甲なり)

(六)水稻撈セ耕作法の獎勵成績(昭和六年第一期)

水稻撈セ耕作法は單位當増収を圖る目的の下に創案せられ、昭和三年州に於て獎勵規程を制定し、此の方針に基きて本庄は昭和五年之を實施したり。

第二節 畜産組合

畜産業は從來婦女子の副業として農業經濟上重要なる一分野をなせるが、其の經營法は依然舊套を脱し得ざる狀態に在り、之が指導研究の必要あるを認め、大正十四年庄費七百十圓を支出して有限責任樹林畜産利用購買販賣組合を組織せしめたり。爾來主に養豚改良の目的にて農會の補助を豚配付し、銳意パークシャ種の増殖普及に努めたるも、遂に昭和七年五月二十二日を以て解散するの止むなきに至りたり。昭和七年六月七日、樹林畜産組合解散後に於ける畜産獎勵事務統制上必要なる旨其の筋より通牒もあり、畜産組合の新設を計劃し、昭和七年七月十五日庄公會堂にて之が設立第一回總會を開きたり。

(一)事業

(1)品種の改良増殖。

(2)家畜、家禽並に畜産に要する物品の賣買斡旋及び飼料の共同購入。

(3)飼養管理の改善及び保健衛生。

(4)飼料作物の栽培獎勵並に試作。

(5)改良豚舎建設の獎勵。

(6)其の他畜産の改良發達上必要なる事項。

(二)組織

(1)本組合は鶯歌庄畜産組合を稱す。

(2)本組合の區域は鶯歌庄一圓とす。

(3)本組合の事務所は鶯歌庄役場内に置く。

(4)本組合は家畜、家禽の飼養又は之が賣買に從事するものを以て組織す。

(5)本組合に組合長一名、副組合長一名、評議員若干名を置く。

(6)本組合の經費は組合費、補助金、寄附金、其の他の収入を以て之に充つ。

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