第八章 警察 第一節 警察機關 一、道路 警察機關としては警察課の外に分室一あり。更に其下に警察官更派出所二六を置き、職員は警部三、警部補二、巡察部長八、巡察六六計七九名を配置す、之れ概述したる所なり。 第二節 保甲、壯丁團 保甲はその數一一四保、一〇三八甲とす。壯丁團は警察官吏派出所を單位とし、聯合壯丁團を編成し、常に警察官吏の指揮監督の下に匪徒、強盜の侵害又は天災時變等の非常時に於ける警防に從事し、保內の安寧保持に任し、團長、副團長を置き壯丁を指導監督す。本郡に於ける壯丁團數は二二、壯丁人員九四五人を有す。 第三節 保安警察 一、司法 司法警察上の取扱件數は社會の進運に伴ひ逐年揄チの傾向にあり、殊に財界不況と臺北市に隣接し、又炭坑多き為め刃傷問題多く昭和七年中に於ける刑法犯を見るに七五五件一、一〇八名といふ數を示し、就中窃盗、詐欺、賭博、傷害最も多く人心の廢頹憂ふべきものあり。 二、犯罪即決 即決事件は是又揄チの傾向にありて、昭和七年中に於ける即決件數一、六一三件にして、就中違警違反最も多く、次に行政諸規則違反にして、警察諸法令の遵守未だ充分ならざるは遺憾とする所なり。 三、浮浪者 現在無ョ漢一一二名、戒告浮浪者六八名あれども浮浪者に對する取締は近時峻烈を極めたる結果謹慎生業に從事する傾向各方面に顯著なるを認められ、其成績良好に向ひつつあり。 四、公安風俗に關する諸營業 本郡に於ける警察取締諸營業は昭和七年末一、二一五にして、其重なるものは爆竹販賣八七、代書人二〇、酌婦二一、飲食店二九、旅人宿五、遊技場七、席貸七、其他一、〇三九なり。 五、海外旅行券下狀況 昭和七年中に於ける海外旅行卷下付は大部分對岸に渡る為にして、本島人一三四件一三四名なり。財界不況に伴ひ最近著しく揄チの傾向にあり。 六、消防設備 各地に消防機具の設備ありて壯丁團之に當る。本郡下は火災少しと雖も昭和七年度中一七件あり、殊に板橋街に火災ありたるを機會に優秀なる能力を有するガソリンポンプの購入を見るに至れり。 第四節 醫療機關及傳染病豫防設備 一、醫療機關 郡下には公設醫療機關の設置なきも私立醫院は適當に分布せられ、此の外各街庄には公醫の駐在あり、又醫生の開業ありて齒科醫を合すれば一八名に及ぶ。傳染病の流行も漸次減少し、又本郡には風土病たるマラリヤは殆んど其の影を潛むりに至れり。 二、藥品取締 藥品取締に就ては藥種商三九、賣藥製造及販賣一八一計二二〇に達す。 三、避病舍 傳染病豫防設備として土城庄を除く各街庄に避病舍の設備を見たるも、衛生狀態比較的良好なる結果殆ど患者の收容を見ず。 四、產婆 郡下に於ける產婆は內地人一、本島人一二、計一三名あり。板橋街を除くの外は何れも公設を置き其の取扱件數は久しき因襲に依り充分普及するに到らず、取扱件數少きも近時民度の向上に從ひ漸次揄チしつつあり。 五、阿片取締 阿片吸食特許者は七三六名、阿片癮矯正者命令者一六八名あり。又阿片烟膏元賣捌二、同小賣人九あり、之等に對しては常に嚴重取締を勵行し居る結果年々良好なる成績を舉げつつあり。 |